高齢者専用賃貸住宅 入居希望者も計画に参加
高齢者が安心して住める住宅を、建設側の県と高齢者がともに意見を出し合って設計するやり方が兵庫県の例で紹介されています。
高齢者が安心して住める基本的条件は、安くて、医療・介護が整い、動けなくなっても生涯ケアしてくれる所を望むののです。
入居に1200万から3500万もかかるのでは、入居できる人は本当に限られてしまうのではないでしょうか?
(以下、 2008年6月13日(金)08:15産経新聞の記事)
■「終(つい)のすみか」へ新たな試み
年をとっても入居できる「高齢者専用賃貸住宅」(高専賃)が、全国に広まっている。その一つ、神戸市西区に建設中の施設では、介護される身になっても地域で暮らせる条件などを計画段階から事業者と入居希望者が一緒に考えるというユニークな試みを実践中だ。これからの超高齢化社会に向け、住まい方の新しい提案となりそうだ。(服部素子)
取り組んでいるのは、来秋完成予定の「ゆいま~る神戸・伊川谷」。敷地面積約1735平方メートルの14階建てで、1階に医療・介護関連サービスやレストランなどを設け、2階以上の全77戸が厚生労働省が認める適合高専賃となる。
事業主体である地域コーディネーターのコミュニティネット(神戸市西区)が、高齢者住宅情報センター(大阪市北区)と連携。1戸当たりの床面積を30平方メートル以上望む高齢者が多いため、約66平方メートルまで10タイプを用意し、入居費(基本10年分一括払い)は1298万~3428万円に設定した。
5月に開かれた説明会には、入居を希望する60~70代の女性5人が参加。この1年間、ほぼ毎月1回の説明会が開催されており、ほとんどが顔見知りだ。
「多世代交流のため学生用にする予定だった2、3階の8戸は、居住者が重度の認知症になったときの住み替え用にあてることにしました」
席上、コミュニティネットの佐々木敏子さんから告げられた計画の変更に対し、「若い子に重たい物を運んでもらおうと思ってたのに…」と残念がる声もあがったが、最終的には「その方が安心や」と総じて歓迎ムードだった。
別の説明会では管理費について、日中1人・夜間1人のスタッフ配置で月額3万5000円(1人入居)を提示したコミュニティネットに対し、入居希望者は「救急対応でスタッフがいなくなるのが不安。高くてもいいから安心を」と要望。結局、日中2人・夜間1人体制で月額5万5000円(同)に変更された。
さらに、賃借人が亡くなるまで生涯にわたって賃貸借の契約を結ぶ終身建物賃貸借制度を兵庫県内で初めて実現させようと目指している。このほか、身元引受人なしで契約できる新たな仕組みも作り、この利用者は申込者全体の3割を占める。
国土交通省によると、平成19年度末現在の高専賃の登録戸数は全国で1万8794戸。このうち、適合高専賃は同年7月1日現在で53施設1567戸。昨年からは、医療法人による高専賃の整備、管理が認められるなど、医療、介護の連携をうたう事業者の参入も加速している。
佐々木さんは「参加型の住まい作りは時間がかかるが、引っ越し前から地域と入居者のかかわりも生まれ、人生の第2ステージに納得して進めるメリットは大きい。今後、こうした手法が広がっていけば」と話している。
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【用語解説】高齢者専用賃貸住宅
高齢者の入居を拒否しない賃宅住宅のうち、専ら高齢者、または高齢者と同居する配偶者を賃借人とする賃貸住宅。とくに各戸の床面積が25平方メートル以上など厚労省の基準に合うとして知事に届け出たものを「適合高専賃」といい、介護保険法で特定施設として取り扱われる。
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