<社会保障>給付抑制、一部見直し

財政抑制の小泉改革路線は十分論議された感が薄く、半ば強引とも思われる改革(改悪)が多く、高齢者や低所得者に厳しいものになっています。弱いものや取りやすいところから取ることばかり考えないで、米軍への思いやり予算や利権でつくる道路など全体を踏まえて見直してほしいものです。

(6月20日1時0分配信 毎日新聞)

 政府の社会保障国民会議が19日まとめた中間報告は、社会的公正を確保するために必要なサービスを保障する「社会保障の機能強化」をうたい、財政安定の観点から給付抑制を掲げた小泉改革路線の一部見直しを求めた。

しかし、財源確保に向けた国民負担に関しては、秋の最終報告に結論を先送り。中間報告がうたうサービスの充実も、今のところは空手形の感が否めない。

 中間報告は、1人暮らしの高齢者や非正規労働の若者など、社会保障の網の目から漏れる層が増え、社会保障の持つ所得再分配機能が十分働いていない現状を指摘。「格差拡大が社会の公正さへの不信感を増大させ、国民の相互連帯意識を大きく損なう」と、国民全体で制度を支える社会保障の基盤が崩れることに危機感を示した。

 小泉政権下の06年、国民会議の前身といえる「社会保障の在り方に関する懇談会」がまとめた最終報告書は「自ら働いて生活を支え、健康を維持する『自助』が基本」とうたうなど、給付抑制に主眼を置いた。今回の中間報告はこうした路線に一定の評価をしつつも、行き過ぎの是正に踏み出した形だ。

 中間報告は、年金、医療、介護などの充実に加え、社会保障の支え手となる現役世代の活力を高める施策にまで言及したのが特徴。非正規雇用者への社会保険適用拡大や、職業教育期間中の生活資金融資に加え、企業に対しては就職氷河期に正社員になれなかった「年長フリーター」の正規雇用に向けた努力を求めた。こうした社会保障の守備範囲拡大には消費税率引き上げなど国民の負担増が不可避だが、具体的な言及はされていない。

 もともと国民会議は、民主党を消費税論議に引き込む呼び水だった。福田康夫首相は19日の国民会議でも「野党も含め国民が幅広く参加する場になるようお願いしたい」と発言。しかし、民主党の小沢一郎代表は同日、宮崎市で会見し「自民党政府は(参院で過半数割れした)片肺のまま『相談に乗れ乗れ』と言う。そんなバカな話はない」と反発しており、財源確保への見通しは立っていない。

 ◇社会保障国民会議中間報告のポイント◇

 <改革の基本方向>

 *速やかに負担についての国民合意を形成し、国・地方を通じた必要な財源確保を図るべきだ

 <年金>

 *低所得者に対する基礎年金の最低保障額の設定

 *非正規雇用者への厚生年金適用拡大

 <医療・介護>

 *病院機能の効率化や地域医療のネットワーク化

 *診療・介護報酬体系の見直し

 <少子化>

 *男性の育児参加など仕事と生活の調和の推進

 

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