介護 受けた経験 施設に活用 「弱い立場の人救う番」 右半身まひの葉山さん 宗像市に開所

自らが脳内出血で右半身まひの後遺症を受けた男性が、介護保険施設を開所しました。いろいろな障害を抱えている人たちにとって、自分も何かができると言う勇気を与えてくれると思います。

人間の能力はすごいものがあると私は思います。出来ないだろうからと何もしないでじっとしていれば、何も変わらない。しかし、やろうとする強い意志があれば、必ずできるんだというメッセージを強く受けました。

(2008/06/25付 西日本新聞夕刊 yahooニュース)

 脳内出血で右半身まひの後遺症を抱える福岡県宗像市の男性が今月、同市内に、デイサービスの通所介護保険施設を開所した。自ら介護を受けた経験を基に、介護される側に立ったきめ細かいサービス提供を目指している。突然背負わされた身体のハンディを、最大限のプラスに転じる取り組みが「体の不自由な人、高齢者らの励みになれば」と願っている。

 

  男性は福岡市の専門学校講師だった葉山靖明さん(43)。葉山さんは2006年2月、脳内出血に襲われ、まひの後遺症で講義ができなくなった。突然、社会とのつながりが断たれた絶望感に「途方に暮れた」という。

 そんな中、リハビリ生活で出合ったのが作業療法。患者に生きる気力を与え心の回復を促す作業療法に、失いかけた誇りを取り戻した葉山さんは「今度は自分が弱い立場の人を救う番」と昨年3月、専門学校を退職。1年余りかけ今月1日、施設を開業した。資金には退職金などを活用した。

 「デイサービスけやき通り」と名付けた施設は木造の開放感あふれる造りで、一般的な家庭の雰囲気。風呂場の転倒事故を防ぐため、目にはっきり見える赤い手すりを設置するなど、細かな気配りを随所に施した。

 作業療法士が常駐し、移動困難な人のため、インターネットで行きたい旅行地を調べ、名物菓子を食べたりする、五感を使った「旅リハビリ」など、利用者の心を動かす取り組みを積極的に取り入れている。脳内出血で左半身まひが残る男性利用者(47)は「同じつらさを知った人間だからできる気遣いを、施設全体から感じる」と言う。

 車、携帯電話、パソコンを使い、好きなギターも特製の親指装身具を使って弾きこなすなど精力的な葉山さん。「ココロが動けばカラダも動く」がモットーの葉山さんは「心が奮い立たなければ強くなれない。何かあきらめている人に、今持っている能力を使ってできることは、必ずあると伝えたい」と話している。

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